第一章 紅き日

N大学の守衛待機所でテレビを見ながら、太田誠は寛いでいた。
今日はセンター試験であり、車は来ないからだ。
そういう日は仕事を休み、自分の趣味に没頭したいのだがそれは叶わなかった。
だから、不機嫌でもあった。
彼女に振られ、親から早く結婚して孫を見せろとつつかれる日々である。
不機嫌になるな、というほうが無理なのであった。
「ったく、つまんねーな・・・。」
そう呟くと同時に、門が開いた。
そして、見慣れないトラックが入ってくる。
太田はあわてて待機所から顔を出す。
入るには手続きが必要だからだ。
台数は3台。連続して入ってきた。
「おーい、止まれ〜。」
だるそうに彼は言った。
3台目が止まり扉が開く。
「こちらにサインを・・・。」

バシュッバシュッバシュッ。

一瞬、何が起きたか分からなかった。
そして、分からないまま太田は絶命した。